forget forgot forgotten

ゆく川の水は何とやら。 思い出はあるけれど、忘却の彼方に置き忘れた物たちは、どんな色や形をしていたのだろう。 その断片だけでもつなぎとめるために、訥々と、時に意味もなくただ書き連ねよう。

tanka

 

『かぜのいろ あの虹くらい あざやか』と キーキーと鳴く 錆び付いた鶏

 

『あのかぜが あんまりきもちよかったもので』風見鶏から届いた手紙

 

アイウォンチュアイラビュアイニヂュアイミスユー日本語訳はしなくていいよ

 

アスファルト 溶けるキャンディ 張り付いた 小さな蟻の 夏の夜の夢

 

這いつくばる 俺が最後に見た景色 空とピンクの蟻地獄

 

蟻ってね ちょっと苦いと いう君の 無邪気な口に 食べられたなら

 

「おいしくない」幼い君は そう言った あの日の蟻に 僕はなりたい

 

「俺だってかつてはそれの一部だ」と ほつれた毛玉が 「控訴します」

 

ザーザーザー 僕は突っ伏す ザザ、ザーザー 海か砂漠か 夢か現か

ザーザザザ 「こちら僕です」ザザ、ザーザー 僕のノイズを 拾ってください

 

立ちのぼる 煙がすべて 「湯けむり」に 変わってしまった 世界の夜明け

 

『ぼくのゆめ はやくおとなに なりたい』と あの日の空は やけに青くて

 

まっくらな 海の向こうに 朝がある 泳げないから 待っていようか

 

「こんにちは」「では永久にさようなら」風やら時間の 薄情者

 

「さらさら」と 音がしたけど なんでしょう 『長い髪』『砂』『届かぬ手紙』

 

「白八木さん あなたの手紙 読みました」いえ、それは嘘 ホントは秘密

 

「黒八木さん 返事はいらない (欲しいけど) 愛しているよ(嘘だけど)」